薬剤師 抗てんかん薬

抗てんかん薬


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【1】フェノバルビタール(フェノバール)

 

人間の脳は、行動を司る司令塔の役割がありますが、
脳の一部分または全体的に過剰興奮するとけいれん発作が起こります。

 

このお薬は、脳の過剰な興奮を抑えけいれん発作を予防します。

 

 

 

フェノバルビタールは、興奮を抑制するGABA神経系のGABAA受容体に結合することで、
中枢神経が興奮するのを抑えたり、大脳に興奮が伝わるのを抑える効果があります。

 

 

このお薬を使うにあたり注意しなければならいことは、
速効性はなく飲み続けて身体の中の薬の濃度を一定に保たなければなりません。

 

濃度を一定に保つことによってけいれん発作が起こるのを防ぎます。医師の指示通りに服用し、
飲み忘れのないよう十分注意するよう患者さんに指導して下さい。

 

また、眠気・注意力・集中力・反射運動能力などの低下が起こることがあります。
自動車や機械の操作など危険を伴う作業は極力避け、作業を行う際は特に
注意するよう伝えましょう。

 

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副作用については、皮膚粘膜眼症候群・中毒性表皮壊死症・脱性皮膚炎・
過敏症症候群・依存性・顆粒球減少・血小板減少・肝機能障害・呼吸抑制などがあります。

 

 

※皮膚粘膜眼症候群
全身の皮膚・粘膜に紅斑や水疱ができただれる。
眼に結膜炎や角膜炎が発症し、重症になると失明したり死に至ることもある。

 

中毒性表皮壊死症
全身の皮膚が紅くなり、擦るだけで皮膚がズルズルと剥けてしまい火傷のようになる。

 

過敏症症候群
服薬後2〜6週間後に紅斑型丘疹と共に発熱・リンパ節腫脹・肝障害・
白血球増加などの全身症状を発症する重症型薬疹。

 

 

このお薬を服用中に併用してはいけないものもあります。
それは、ボリコナゾール(エリキシル剤はジスルフィラムとシアナミドも使用してはいけません)というお薬です。

 

また、メチルフェニデート塩酸塩、バルプロ酸ナトリウム、クロバザムはフェノバルビタールの
血中濃度を上昇させてしまいます。

 

反対に、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む食品などはフェノバルビタールの
血中濃度を低下させてしまうため、注意が必要です。

 

 

併用した薬剤の血中濃度を低下させるお薬は次の通りです。

 

三環系抗うつ薬・四環系抗うつ薬・バルプロ酸・クロバザム・イリノテカン塩酸塩水和物・
副腎皮膚ホルモン剤・カルバマゼピン・シクロスポリン・テオフィリン・アミノフィリン水和物・
卵胞ホルモン剤・黄体ホルモン剤・ベラパミル塩酸塩・グリセオフルビン・タクロリムス水和物・
サキナビルメシル酸塩・硫酸インジナビル エタノール付加物・トロピセトロン塩酸塩・
イマチニブメシル酸塩・アゼルニジピン

 

その他にも、中枢神経抑制薬・抗ヒスタミン剤・アルコール(相互に作用増強)・
MAO阻害薬(相互に作用増強)・三環系抗うつ薬・四環系抗うつ薬(相互に作用増強)・
ドキシサイクリン塩酸塩水和物(血中濃度半減期短縮)・ワルファリンカリウム(作用減弱)・
利尿薬(起立性低血圧の増強)・アセタゾラミド(くる病・骨軟化症)
エリキシル剤は水で薄めたものを冷蔵庫で保管すると薬の成分が結晶
または固体状成分が分離して出てきてしまうことがあります。

 

保管の際は、薄めずに室温(常温)で保管して下さい。

 

 

 

【2】フェニトイン(アレビアチン)
このお薬は、神経を興奮させるグルタミン酸神経系の電位依存性Na+チャンネルを阻害し、
中枢神経が興奮するのを抑えたり、大脳に興奮が伝わるのを抑える効果があります。

 

神経の興奮の伝達が繰り返し行われるのを抑えることで、けいれん発作が起こるのを防ぎます。

 

 

このお薬もフェノバルビタール(フェノバール)同様に、身体の中の薬の濃度を一定に保つことで、
けいれん発作が起こるのを防ぎます。

 

医師の指示通りに服用し、飲み忘れなどないように指導しましょう。

 

けいれんの種類によって症状を悪化させるものもありますので、
薬物治療でしっかりとコントロールすることが重要です。

 

服用中は、眠気・集中力・注意力・反射運動能力などの低下がおこることがあるため、
自動車や危険を伴う機械操作などは避けるようにしましょう。

 

 

服用に伴う副作用は、皮膚粘膜眼症候群・中毒性表皮壊死症・SLE様症状・過敏症症候群・
再生不良性貧血・汎血球減少・無顆粒球症・単球性白血病・血小板減少・溶血性貧血・
赤芽球癆・劇症肝炎・肝機能障害・黄疸・間質性肺炎・悪性リンパ腫・リンパ節腫脹・小脳萎縮です。

 

 

※SLE様症状
皮膚・関節・神経・腎臓などの体のあちらこちらに炎症が生じる。

 

 再生不良性貧血……骨髄機能低下による貧血。

 

 汎血球減少…………血液中の赤血球・白血球・血小板全ての血中細胞成分が全体的に減少する。

 

 無顆粒球症…………血液中の白血球のうち、体内に入った細菌を殺す重要な働きをする好中球(顆粒球)が著しく減少し細菌に対する抵抗力が弱くなる状態。

 

 単球性白血病………単球の増加と血球の異形成を特徴とする血液疾患。

 

 溶血性貧血…………赤血球が破壊されて起こる貧血。(赤血球が破壊されることを溶血という)

 

 赤芽球癆……………赤血球だけが減少する重度の貧血。

 

相互作用の中でフェニトインの血中濃度を上昇させるものと低下させるものがあります。

 

上昇させるお薬:ゾニサミド・クロバザム・ボリコナゾール・カルバマゼピン・バルパム酸・
ネルフィナビルメシル酸塩・ワルファリン・エトスクシミド・スルチアム・チクロピジン塩酸塩・

 

フルコナソール・ホスフルコナゾール・ミコナゾール・スルファメトキサザール・トリメトプリム・
クロラムフェニコール・シメチジン・オメプラゾール・ジルチアゼム塩酸塩・
アミオダロン塩酸塩・ジスルフィラム・アロプリノール・パラアミノサリチル酸カルシウム水和物・
イソニアジド・メチルフェニード・フルボキサミンマレイン酸・フルオウラシル系薬剤(テガフール製剤、ドキシフルリジンなど)・
三環系抗うつ薬・四環系抗うつ薬・トラジドン塩酸塩・タクロリムス
低下させつお薬:カルバマゼピン・バルプロ酸・ネルフィナビル・テオフィリン・アミノフィリン・リファンピシン・
ビンカアルカロイド(ビンクリスチン硫酸塩など)・シスプラチン・

 

セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む食品

 

併用した薬剤の血中濃度を低下させるもの:ゾニサミド・クロバザム・ボリコナゾール・カルバマゼピン・
バルプロ酸・ネルフィナビル・タクロリムス・テオフィリン・アミノフィリン・

 

イリノテカン・イトラコナゾール・フェロジピン・ベラパミル・ニフェジピン・ジソピラミド・
キニジン硫酸塩水和物・副腎皮質ホルモン剤・卵胞ホルモン剤・黄体ホルモン剤・
フレカイニド・メキシレチン塩酸塩・パロキセチン・クエチアピンフマル酸塩・プラジカンテル・
オンダンセトロン塩酸塩水和物・シクロスポリン・甲状腺ホルモン剤(レボチロキシンナトリウム水和物など)・
サキナビル・インジナビル・イマチニブ・アゼルニジピン

 

その他:ワルファリン(作用増加の可能性)・ドキシサイクリン(血中濃度半減期短縮)・
非脱分極性筋弛緩剤(作用の減弱)・血糖降下薬(作用の減弱)・アセタゾラミド(くる病、骨軟化症)

 

このお薬のワンポイントとして、継続して使用していると歯肉増殖が見られることがありますので、
しっかりと口腔内を掃除するよう伝えましょう。歯肉増殖を予防することができます。

 

 

【3】バルプロ酸ナトリウム(デパケン)

 

バルプロ酸は、神経を興奮させるグルタミン酸神経系の電位依存性Ca2+
チャンネルを阻害し、中枢神経が興奮するのを抑えます。

 

大脳に興奮が伝わるのを抑える効果があります。

 

神経の興奮の伝達が繰り返し行われることでけいれん発作が起こるので、
伝達が繰り返し行われないよう抑制し、けいれん発作が起こるのを防ぎます。

 

服用に関しての注意事項は、身体の中の薬の濃度を一定に保つことで、
けいれん発作が起こるのを防ぎます。

 

医師の指示通りに服用し、飲み忘れなどないように指導しましょう。
けいれんの種類によって症状を悪化させるものもありますので、
薬物治療でしっかりとコントロールすることが重要です。

 

服用中は、眠気・集中力・注意力・反射運動能力などの低下がおこることがあるため、
自動車や危険を伴う機械操作などは避けるようにしましょう。
妊娠または妊娠している可能性のある女性は服用することはできません。

 

 

服用に伴う副作用は次の通りです。
劇症肝炎・高アンモニア血症を伴う意識障害・溶血性貧血・赤芽球癆・汎血球減少・
重篤な血小板減少・顆粒球減少・急性膵炎・間質性腎炎・ファンコニー症候群・皮膚粘膜眼症候群・
中毒性表皮壊死症・過敏症症候群・脳の委縮・痴呆様症状(健忘・見当識障害・言語障害・寡動・
知能低下・感情鈍麻など)・パーキンソン様症状(静止時振戦・硬直・歩行異常など)・
横紋筋融解症・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)

 

 

※劇症肝炎
急性肝炎の中でも特に重症なもの。高度の肝機能不全と意識障害または肝性昏睡。

 

高アンモニア血症を伴う意識障害
吐気・眠気・振るえ・異常な言動・もうろう。重い血液成分の異常
(高熱・喉の痛み・だるい・皮下出血・歯肉出血)。

 

ファンコニー症候群
たんぱく質・糖質・ミネラルを始めとする栄養素の尿中への喪失を引き起こす一群の腎障害・
脱力・骨痛・異常な尿量の増加など。

 

横紋筋融解症
骨格筋の融解や壊死によって筋細胞内の成分が血中に流れ出す。
症状は、筋肉痛・筋の腫脹・四肢の脱力・疼痛・しびれなど。

 

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)…ADH尿量を減少させる作用を持つホルモンである
バソプレッシンが血漿浸透圧に対し不適切に分泌または作用することによって起こる。

 

 

相互作用として併用してはいけないもの、バルプロ酸の血中濃度を上昇させるもの、
低下させるもの、併用した薬剤の濃度を上昇させるものがあります。

 

併用してはいけないもの:カルバペネム系抗生物質(パニペネム・ベタミプロン・メロペネム水和物・
イミペネム水和物/シラスタチンナトリウム・ビアペネム・ドリペネム水和物)
バルプロ酸の血中濃度を上昇させるもの:クロバザム・エリスロマイシン・シメチジン
バルプロ酸の血中濃度を低下させるもの:バルビツール酸剤(フェノバルビタールなど)・フェニトイン・カルバマゼピン
併用した薬剤の濃度を上昇させるもの:エトスクシミド・アミトリプチン塩酸塩・ノルトリプチリン塩酸塩

 

 

その他:フェニトイン・カルバマゼピン(作用の増減)・サリチル酸系薬剤
(バルプロ酸の遊離濃度の増加、代謝阻害)・ベンゾジアゼピン系薬剤・ワルファリン(作用の増強)・
クロナゼパム(欠伸発作の重積が報告されています)

 

このお薬のポイントは、デパケンR錠は徐々に薬の成分が溶け出すので、噛まずに服用して下さい。
便の中に抜け殻が出てきても薬の作用には関係ありませんので、心配しないよう説明しましょう。





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