生活習慣 薬物動態

食事内容・嗜好品・生活習慣と薬物動態についての理解


このエントリーをはてなブックマークに追加  

飲食品との相互作用

 

食事は、薬物の吸収率や薬効に影響を及ぼします。

 

また、相互に作用するため薬効が減ったり、副作用が増したりする
飲食物もあります。

 

そのため、食事に対する薬物の服用タイミングや、相互作用を起こす
飲食物の知識が、服薬指導には必要となります。

 

大部分の内服薬は、空腹時のほうが吸収はよく、食後のほうが胃粘膜への刺激が少なく、
薬の効き目もよくなります。

 

大部分の薬は、食後服用となっています。
難溶性の薬物の中には、食物(特に脂肪)が存在したほうが胆汁の分泌が増し、
胆汁の作用により溶解速度が増して、吸収がよくなるものがあります(シンクロポリン)。

 

イコサペント酸の吸収が空腹時より食後の服用のほうがよいのは、そのためです。

 

また、イトラコナゾールカプセルも食後服用のほうがよく吸収されます。

 

その他の理由として、食事による胃酸分泌量の増加、胃の蠕動運動の活発化などの
要因も考えられます。

 

グレープフルーツジュースは薬物代謝酵素のCYP3A4を阻害し、Ca拮抗薬、
スタチン系脂質代謝改善薬、カルシニューリン阻害薬などの血中濃度を上昇させます。

 

これらの薬物を服用中の患者はグレープフルーツジュースを飲用しないよう指導します。

 

イソニアジドなどのMAO(モノアミノ酸化酵素)阻害薬を使用しているときに、
チーズやワインなどを摂取すると、チラミンの代謝が阻害され、
チラミン中毒(発汗、動悸、頭痛などの症状)現れることがあります。

 

スポンサーリンク

 

アルコール、たばこ、健康食品との相互作用

アルコールと薬物との相互作用では、アルコール代謝阻害作用を持つ薬剤(メトロニダゾール)が
アルデヒド脱水素酵素活性を阻害し、アセトアルデヒドが蓄積することにより二日酔い症状が出てきます。

 

これらの薬物を服用中の患者は、酒などアルコール入りドリンク剤などの飲用をしないよう指導します。

 

下図は飲食物・嗜好品との相互作用の一覧です。

飲食物及び嗜好品 薬剤 相互作用 作用する仕組み 対処
アルコール(1) アルコール代謝阻害作用がある薬(カルモフール、メトロニダゾールなど) アセドアルデヒドによるスルフィラム様作用 左記のアルコール代謝阻害薬がアルデヒド脱水素酵素活性を阻害し、アセトアルデヒドが蓄積することにより二日酔い症状が出る 併用禁忌
アルコール(2) トリアゾラムなど中枢神経系用薬 中枢抑制作用増強 アルコールの中枢抑制により薬剤の作用が増強・中枢神経系用薬の代謝阻害 併用注意
グレープフルーツジュース Ca拮抗薬、スタチン類(シンパスタン、)、シンクロスポリン、タクロリムス他 作用増強 薬物代謝酵素(CYP3A4)抑制し、薬剤の血中濃度を上昇 併用注意
チラミンを含有する食物(チーズ、ワインなど) イソニアジド チラミンの作用増強 イソニアジドのMAD阻害作用のより、チラミンが不活性化されず、カテコールアミンの遊離が促進 併用注意
納豆、クロレラ、青汁などビタミンKを多く含む食物 ワルファリン 作用が弱まる ビタミンKにより、抗擬固作用が阻害される 併用注意
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ) キサンチン系、ワルファリン、アセトアミノフェン、イトラコナゾール、ジゴキシン、シクロスポリン、タクロリムス他 作用が弱まる セント・ジョーンズ・ワートがCYPIA2,2C群・3A群に代謝酵素を誘導し、左記薬剤の代謝を促進する 併用させない
たばこ テオフィリン、ブロブラノロール、オランザピン、経口避妊薬、アテノロール、シメチジン 作用が弱まる 喫煙はCYPIAI、IA2、2EIを誘導し、血中濃度を低下させる 禁煙指導(急な禁煙時には薬剤の作用増強に注意)
金属(AI,Mg,Fe,Ca,Znなど)含有物:牛乳、チーズ・ヨーグルト(Ca)、牡蠣エキス(Zn)青汁など キノロン系抗菌薬、甲状腺ホルモン剤、セフジニル、テトラサイクリン系抗生剤、ピスホスホネート製剤他 作用が弱まる 媒体などによる吸収阻害 一定時間を空けて服用

 

セント・ジョーンズ・ワートはハーブの一種で、うつ病や不安障害にも効果があります。
CYPおよびP糖蛋白を誘導し、薬物の代謝と消化管への排泄を促進します。

 

ジゴキシン、テオフィリン、ワルファリンなどの血中濃度を低下させます。
たばこはCYCのIAI,2EIを誘導し、テオフィリンなどの血中濃度を低下させます。
禁煙指導です。

 

ただし、急な禁煙は、薬剤の作用を増強させるので要注意です。

 

またキレートを作る薬物(ニューキノロン系抗菌薬、テトラサイクリン系抗生剤)は、
牛乳など食物や薬品中の金属カチオン(Ca,Mg,Al,Feなど)と結合し、
吸収を低下させるので、服用に時間をずらします。

 

 

薬物の溶解性・浸透性による分類と食事の影響

 

溶解性 浸透性 食事の影響 代表的薬物
ジソピラミド、パルプロ酸、ベラパミルなど
遅延 ケトブロフェン、ミダゾラム、テオフィリンなど
脂肪量に比例し増加 グルセオフルビン、シクロスポリン、フェニトインなど
減少 カプトプリル、プロセミド、アレンドロネートなど
食事と関係なく吸収不良 メベンタゾール、ネオマイシンなど



このエントリーをはてなブックマークに追加