薬剤師 薬事関連法規

薬剤師の仕事と薬事関連法規についての理解


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薬剤師となるには、薬科大学や薬学部を卒業し、
国家試験に合格し免許登録をしなければなりません。

 

しかし、保険薬局では、保険薬剤師の登録をしないと仕事をすることが
できません。

 

 

社会や制度の変化への対応

 

薬剤師に要求されるもの。
それは、医療人としての倫理観、幅と奥行きのある医薬品とその周辺知識、
さらにコミュニケーション能力です。

 

一方、日本では、少子高齢化が社会問題化しています。
これに伴い国民の病気の構造に変化が起こっています。

 

また生命科学の技術革新により、画期的な新薬が製品として市場に出回っています。
さらに、医療に対する国民の意識向上などを社会背景とし、厚生労働省による
医療費抑制策が実施されています。

 

その中で医療保険制度や医療法、薬剤師法、そして薬事法などの大改正があります。

 

薬剤師は、これらの法改正を踏まえて業務について意識改革をしなければなりません。

 

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服薬指導と薬事関連法規とのかかわり

 

医薬品は、人間の生存と健康維持のために今や不可欠な存在です。
また医薬品は生命に関連する物質であり、有用であるだけでなく、使い方によっては副作用を生じます。

 

このため、医薬品を扱う者には、最低限遵守すべき法律があります。
現場の薬剤師は、正確な法律知識に基づいて、現場での任務を果たすことにより、
患者さんや顧客の期待に応え、信頼を得ることができます。

 

ここでは、薬局薬剤師が服薬指導を実行する際に、薬事関連法規といわれる薬剤師法、
薬事法そして医療法などがどのように関わりを持ち、どのように関連しているかを簡単に説明します。

 

 

1、薬剤師法

 

この法律は、薬剤師の身分と業務に関する事項を定めた法律です。
薬剤師としての社会的行動の規範を法制化したものです。

 

第1条 薬剤師の任務
薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、
公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。

 

この条文は、薬剤師の法的義務として、

  1. 調剤の求めに応ずる義務
  2. 処方せんの疑問な点についての照会
  3. 調剤された薬剤に関する所定事項の記載義務
  4. 処方せんや調剤録の記入および保存

 

などを定めたものです。平成8年6月に薬剤師法の一部が改正され(平成9年4月施行)、
新たに第25条の2という条文が追加されました。

 

これは調剤を行う薬剤師に対して、薬剤の正しい使用のために患者などに対して必要な
情報を提供することを義務づけたものです。

 

 

第25条の2
薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に
当たっている者に対し、調剤した薬剤の適正な使用のために
必要な情報を提供しなければならない。

 

この条文を解説すると、

  1. 提供の方法は、口頭または文書のどちらでもよい
  2. 提供する事項としては、薬剤の名称、保管上の注意、服用上の注意、効能・効果、副作用など。
  3. 情報は個々のケースに応じて判断し、適切に患者などに提供する。

 

この条文では、薬剤師に患者への情報提供の裁量権を認めている。
すなわち、薬剤師の専門性が高く評価されるようになった。

 

また、一方で薬剤師に求められるものは、高度な知識と判断力であり、
薬物治療の安全性と有効性の向上に貢献することである。

 

 

2、薬事法

 

この法律は、薬事について全般にわたり規制しています。
具体的には、医薬品、医薬部外品、化粧品および医療用具に関して承認、許可、
報告取り締まりなどの規制をして、これらの品質、安全性および有効性を確保します。

 

この法律による薬局の定義は次の通りです。

 

第2条 11
「薬局」とは、薬剤師が販売または授与の目的で調剤の業務を行う場所
(その開設者が医薬品の販売業を併せ行う場合には、その販売業に必要な場所を含む。)をいう。
ただし、病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設の調剤所を除く。(一部省略)

 

その他、薬事法には薬局開設の許可・管理に関する事項を定める。

 

なお、一般用医薬品(大衆薬)に関する情報提供は、薬局開設者などは医薬品を購入、
または使用するものに対し、医薬品の正しい使用に必要な情報を提供するよう
努力することとされてきた(これは、第77条の3台4項の努力規定です)。

 

一般用医薬品の中には、スイッチOTCといわれる薬剤があります。
これは、医療用医薬品から転用されたものです。
消費者保護(医薬品使用時における安全性確保)の観点から、一般用医薬品を危険性の
程度に応じて、平成19年4月から3グループに分類しています。

 

下図のとおりです(随時見直しがあります)。 

 

第一類医薬品

(特に危険度が高い)

一般用医薬品としての使用経験が少ないなど、安全性上、

特に注意を要する成分を含むもの
(例)H2ブロカー含有薬、一部の毛髪用薬など

第二類医薬品

(危険度が比較的高い)

まれに入院相当以上の健康被害が生じる可能性がある成分を含むもの

(例)主なかぜ薬、解熱鎮痛薬、胃腸鎮痛鎮座薬など

第三類医薬品

(危険度が比較的低い)

日常生活に支障を及ぼす程度ではないが、

身体の変調・不調が起こるなどそれがある成分を含むもの
(例)ビタミンB・C含有保健薬、主な整腸薬、消化薬など

 

上記の危険度に応じた情報提供は、下図のとおり、平成21年6月から施行されています。

 

医薬品の危険度の分類 質問がなくても行う情報提供 相談があった場合の対応 対応する専門家
第一類医薬品

(特に危険度が高い)

書面での提供の義務 義務 薬剤師
第二類医薬品

(危険度が比較的高い)

努力義務 義務 薬剤師または登録販売者
第三類医薬品

(危険度が比較的低い)

不要 義務 薬剤師または登録販売者

 

なお、医療用医薬品は、特定人の特定疾病にのみ用いられ、一般に流通するものではありません。
そのため薬事法上の医薬品には定義はありません。

 

医療用医薬品に関する情報提供の義務は、薬剤師法上の義務規定です(第25条の2)。

 

また、医薬品の副作用情報の提供および収集に関して、医薬品製造(輸入販売)業者は、
医療関係者(医師、歯科医師、薬剤師など)に対し、努力規定として医薬品の正しい
使用のために必要な情報を提供しなければなりません。

 

一方、医療関係者も企業への情報提供が求められています。

 

 

3、医療法

 

医療関係者にとって、最重要な基本法です。
平成4年7月(平成5年4月施行)に第2次改正が行われ、第1条の2に薬剤師の職名が明記されました。

 

また第1条の4では、薬剤師に対して
努力義務(責務において良質かつ適切な医療を行うこと)が課せられました。

 

また、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(法律第84号)」(平成18年6月21日付け)で、「調剤を実施する薬局」が医療提供施設の1つとして明記されました。

 

この法律で、薬局薬剤師による調剤を薬局において実施することが医療行為として明文化されました。

 

下記は、第1条の4と第1条の4第2項です。

 

第一条の4
医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、
第1条の2に規定する理念に基づき、医療を受ける者に対し
良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。

第1条の4第2項(平成9年12月17日新設)
医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、
適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。

 

この規定は、いわゆるインフォームド・コンセント(IC:説明と同意)のことです。
これは情報が与えられたうえで同意する、という意味です。

 

医療現場においては、医師が患者に親切丁寧に治療について説明し、
患者の自己決定権を尊重するという観点から生まれた考え方です。

 

これをさらに高い次元に発展させた考え方が、インフォームド・チョイスというものです。
この考え方は、治療方法についての同意を必要とするのみならず、
治療方法の選択権が患者自身にあるという点に、その先進性があります。

 

このインフォームド・チョイスに関する薬局での薬剤師の仕事としては、
調剤時におけるジェネリック医薬品の選択があります。

 

ジェネリック医薬品とは、後発医薬品のことで、特許が切れた医薬品を
他の製薬会社が製造あるいは供給する医薬品のことです。

 

価格以外にも患者側にわかりやすく親切に医薬品情報を提供すべきです。

 

一般用医薬品の販売においても、顧客の商品選択を容易にし、
かつ危険度に応じた、薬剤師としての医薬品の情報提供のあり方が問われます。





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