薬剤師 アスピリンジレンマ

アスピリンジレンマと低用量アスピリンの適応外使用


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アスピリンは用量によって適応が異なり、低用量(1日約100r)では
抗血栓作用を、高用量(1日1〜4.5g)では解熱鎮痛作用を示します。

 

アルピリンはシクロキシナーゼ(COX)と呼ばれる酵素を非可逆的に阻害し、
トロンボキサンA2(TXA2)とプロスタサイクリン(PGI2)の産生を抑えます。

 

COXは血小板と血管内に存在しており、TXA2は血小板のCOXから産生されて血小板凝集作用を、
PGI2は血管内皮のCOXから産生されて血小板凝集抑制作用を示します。

 

低用量アスピリンは、血小板に存在するCOXのみ阻害しTXA2の産生を抑制するため、
TXA2とPGI2のバランスがPGI2優位に傾き、血小板凝集を抑制して血栓形成を抑えます。

 

血小板には核が存在しないためCOXは再生できず、
TXA2の産生抑制は血小板の寿命といわれる7〜10日間持続します。

 

その一方で、解熱鎮痛に用いる高用量アルピリンは、血管内皮に存在するCOXまで阻害してしまいます。

 

 

その結果、血小板凝集抑制作用を持つPGI2の産生が低下し、抗血栓作用が弱まります。
これを、アスピリンジレンマと呼びます。

 

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しかし、血管内皮には核が存在するため、COXは約24時間で再生され、
PGI2の産生は早期に回復します。

 

 

また、低用量アスピリンは保険適応外で、習慣性流産を予防するために使われることがあります。
習慣性流産とは、自然流産を3回以上繰り返す場合を指します。

 

習慣性流産は、抗リン脂質抗体症候群(APS)など、血栓ができやすい素因を持つ患者に多いことから、
胎盤や臍帯などで血栓ができ、胎児への血流が障害されることが原因の1つとされています。

 

APSはリン脂質に対する抗体(抗リン脂質抗体)が母体の血中に増える病態です。

 

胎盤の表面では、母体の血液が固まらないようにリン脂質が働いていますが、
抗リン脂質抗体がリン脂質の働きを阻害するため、母体の血液が固まりやすくなり、
その結果胎盤や臍帯で血栓が形成され、習慣性流産が起こると考えられています。





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