薬剤師 抗血栓薬

抗血栓薬


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血管内に血の固まり(血栓)ができると、脳梗塞・狭心症・心筋梗塞などの引き金となります。
抗血栓薬には様々な種類がありますが、ここでは、アスピリン、チクロピジン塩酸塩、
ワルファリンカリウムについて解説します。

 

【アスピリン(バイアスピリン)】

 

血小板のあるシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害して、血小板の凝集を促進する
トロンボキサンA2の産生と遊離を抑制し、血栓をできにくくするお薬です。

 

なお川崎病は、高熱・発疹・掌や手指の紅斑・口腔内の発赤などに伴って、
全身の中・小動脈の血管炎が見られる病態で、4歳以下の小児に好発します。

 

血管炎から動脈瘤を形成すると、冠動脈病変が重症の場合は、ジピリダモール、
チクロピジン塩酸塩、ワルファリンカリウムなどの他の抗血栓薬を併用します。

 

アスピリンが使用できない場合には、フルルビプロフェン(フロベン)を使います。

 

使用上の注意は、アスピリンの抗血小板作用は不可逆的で、
血小板の寿命である7〜10日間は持続します。

 

そのため、手術や抜歯をする際にはあらかじめ薬を中止する場合があります。
手術などの予定があり、休薬が必要なときには必ず医師の指示を受けるよう指導しましょう。

 

アスピリンで喘息発作を起こしたことがある人は通常使用できません。

 

 

副作用で重大な症状は、ショック、アナフィラキシー様症状、出血、皮膚粘膜眼症候群、
中毒性表皮壊死症、はく脱性皮膚炎、再生不良性貧血、血小板減少、白血球減少、
喘息発作の誘発、肝機能障害、黄疸、消化性潰瘍などです。

 

代表的な症状は、吐気、食欲不振、胃痛、じんましん、かゆみ、腎障害などです。

 

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相互作用として併用禁忌の薬剤はありませんが、次のお薬との併用には注意が必要です。

 

@出血傾向が増強する薬剤:クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)、血小板凝集抑制作用を有する薬剤
(チクロピジン、シロスタゾールなど)、血栓溶解剤(ウロキナーゼなど)、ヘパリン製剤、
トロンボキサン合成阻害剤(オザグレルナトリウム)、プロスタグランジンE1製剤及びl2誘導体

 

A本剤で作用が減弱する薬剤:チアジド系利尿薬(ヒドロクロロチアジドなど)、ループ利尿薬(フロセミド)、
β遮断薬(プロプラニロール塩酸塩、ピンドロールなど)、ACE阻害薬(エナラプリルマレイン酸塩など)、
ニトログリセリン製剤

 

B副作用が増強される薬剤:非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(インドメタシン、ジクロフェナクナトリウムなど)

 

C本剤の作用を減弱させる薬剤:イブプロフェン

 

このお薬は腸で溶けるように、錠剤の周りにコーティングがかかっています。噛んだり、割ったり、
すり潰したりするとコーティングが剥がれてしまうため、急性心筋梗塞や脳梗塞の
初期治療で早く効果を出したい時以外は、そのまま服用する必要があります。

 

アスピリンは胃を荒らすことがあるため、なるべく空腹時を避けて服用するよう指導して下さい。

 

 

その他の特徴ある薬剤の指導ポイントは、バイアスピリンはアスピリン単独の製剤ですが、
バファリンはアスピリンの他にダイアルミネートを含む薬剤です。

 

ダイアルミネートは、胃粘膜を保護するために配合された成分で、アルミニウムを含んでいます。

 

アルミニウムは腎臓から排出されるため、腎臓の機能が低下した方は脳や
骨に蓄積する可能性がありますので、注意が必要です。

 

 

【チクロピジン塩酸塩(パナルジン)】

 

血液中の成分である血小板が凝集すると、血液が固まります。
このお薬は血小板の凝集を抑制し、動脈内の血栓をできにくくします。

 

使用上の注意として重大な副作用は、
主に投与を開始してから2か月以内に起こることが多いといわれています。

 

そのため、このお薬は投与開始後2か月間、原則として2週間ごとに
血液検査や肝機能検査を行い、副作用が出ていないかチェックしながら使用します。

 

また、血小板凝集を抑える作用は不可逆的で、
血小板の寿命である7〜10日間は持続するといわれています。

 

そのため、手術や抜歯の際には10〜14日間休薬する場合があります。
手術や抜歯などの予定があるときには、必ず医師の指示を受けるよう指導して下さい。

 

副作用で重大な症状は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症、劇症肝炎、
再生不良性貧血を含む汎血球減少症、赤芽球癆、血小板減少症、中毒性表皮壊死症、
皮膚粘膜眼症候群、紅皮症、多形滲出性紅斑、消化性潰瘍、急性腎不全、間質性肺炎、
SLE様症状などです。

 

代表的な症状は、肝機能障害、かゆみ、じんましん、吐気、食欲不振、頭痛などがあります。

 

 

相互採用として併用禁忌のお薬はありませんが、併用時に注意が必要なお薬は次の通りです。

 

@血中濃度が上昇する薬剤:バルビツール酸誘導体、デオフィリン、チザニジン塩酸塩、フェニトイン

 

A出血傾向が増強される薬剤:血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリンなど)、
抗凝固薬(ワルファリンなど)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ、アルテプラーゼなど)

 

B併用薬の作用が減弱する薬剤:シクロスポリン

 

顆粒は、口の中に長い間含んでいると舌に苦味が残ることがあるため、
速やかに飲み下すよう指導しましょう。

 

 

その他の特徴ある薬剤の指導ポイントは、クロプドグレル硫酸塩(プラビックス)は、
チクロピジンと同じ系統に分類される抗血栓薬で、通常は1日1回75rで使用されるお薬です。

 

投与を中止しても約14日間は効果が持続しますが、チクロピジンとは違う酵素で代謝されるため、
劇症肝炎などの重大な副作用の頻度が低く、比較的安全に使用できるといわれています。

 

 

【ワルファリンカリウム(ワーファリン)】

 

ワルファリンの構造は、活性型ビタミンKと似ているため、
肝臓でビタミンKと拮抗してビタミンK欠乏症を引き起こします。

 

ビタミンKが欠乏すると、正常なビタミンK依存凝固因子
(合成にビタミンKを必要とする凝固因子)が産生されなくなり、血液が凝固しにくくなります。

 

ワルファリンは、循環血液中の血液凝固因子には直接作用しないため、
すでに形成された血栓を溶解する作用はありません。

 

注意事項は、このお薬はビタミンKの働きを阻害することで、間接的に血液凝固因子の
産生を抑制するため、飲み始めてすぐに効果は発揮されません。

 

抗凝固作用が発現するまでには、
36〜48時間ほどかかるといわれています。さらに、肝臓では投薬中止後4〜5日で血液凝固因子が
再生されるため、相当な出血が予想される手術などの際には、休薬する場合があります。

 

そのような予定があるときには、必ず医師の指示を受けるよう指導します。

 

また、このお薬は胎盤を通過し、胎児に軟骨形成不全や神経系の異常などを起こす
可能性があるため、妊婦には使用できません。

 

副作用で重大な症状は、出血、皮膚壊死、肝機能障害、黄疸などです。
代表的な症状は、かゆみ、発疹、じんましん、発熱、吐気、下痢、脱毛などがあります。

 

 

相互作用については次の通りです。

 

@併用禁忌:メナテトレノン(グラケー)

 

A本剤の作用を増強する薬剤:催眠鎮静剤(トリクロホスナトリウムなど)、
抗てんかん薬(フェイトインなど)、解熱鎮痛消炎剤(アスピリン、アセトアミノフェンなど)、
精神神経用薬(三環系抗うつ薬、MAO阻害薬など)、抗不整脈薬
(アミオダロン塩酸塩、キニジン硫酸水和物など)、高脂血症治療薬(シンバスタチン、
フィラブラート系製剤など)、消化性潰瘍治療薬(オメプラゾールなど)、ホルモン剤(抗甲状腺製剤、蛋白同化ステロイド)、
高尿酸血症治療薬(アロプリノール、ベンズプロマロンなど)、抗HIV薬(リトナビル、サキナビルメシル酸塩など)、
抗真菌薬(イトラコナゾールなど)など

 

 

B本剤の作用を減弱する薬剤・食品:催眠鎮静剤(バルビツール酸誘導体)、
抗てんかん薬(カルバマゼピン、プリミドン)、ホルモン剤(副腎皮質ホルモン)、ビタミンK含有製剤、
ビタミンKを含む飲食物(納豆、クロレラ食品、ケール含有食品、セイヨウオトギリソウ含有食品など)

 

ワルファリンで血液凝固因子の産生を抑えていても、ビタミンKを含む飲食物や薬剤を摂取すると、
血液凝固因子の産生が開始されてしまいます。

 

そのため、ワルファリンを服用している間は、
ビタミンKを多く含む納豆・クロレラ・青汁などの摂取は避けるよう指導しましょう。

 

ほうれん草やブロッコリーなどの緑色野菜にもビタミンKが含まれているといわれていますが、
納豆などに比べるとビタミンKの量は少ないため、過剰摂取を避ければ問題ないといわれています。

 

ワルファリンの最適用量は患者さんことに異なり、
トロンボテスト(TT)やプロトロンビン時間(PT)と呼ばれる血液検査を行って決定します。

 

しかし、食事や併用薬によって、同じ個人でも最適用量が変動することがあるため、
長期間服用している間も定期的に血液検査を行い、最適用量を確認する必要があります。





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